- [プランT]
- [時間の座標]過疎から適疎へ
現状ここでまず過疎とは何かを考えておきたい。過疎とは、人口が減少することによって、地域が存立する基盤が脆弱化し、地域の存続が危うくなる現象を指す。
農林業で生活が出来なくなり、地域のパイが小さくなると、商業が成り立たなくなり、地域が扶養できる人の数が減り、自治体の財政力も弱くなって、地域全体の活力がなくなる。こうして、商工会がよって立つ、地域の基盤の足元が危うくなる。
川根町も、中川根町も、本川根町も、春野町も、佐久間町も、水窪町も、過去この大波に洗われてきた。企業誘致や、道路建設などに対しては根本的に歯止めがかけられなかった。
だが、これまでのこうした試みは決して無意味なことではなかった。なぜなら、私たちはそこから実に沢山のことを学んだからだ。地域にはこうした多くの教訓があり、地域づくりのノウハウの宝庫だからだ。
課題ところで、過疎ということを冷静に考えてみると、このようなくらい側面ばかりでなく、もし過疎化が進行しなかったら生じたであろう、様々な弊害を未然に回避した、自然の摂理とも考えることが出来る。その意味で過疎は「適疎」と置き換えることが出来る
商工会がこれから地域振興を図り、文字どおり地域の総合経済団体として、その役割を遺憾なく発揮するためには、まずこの考えに立ってみる。
地域の将来を悲観するばかりでなく、地域に残された自然、産業、人材、文化などの価値を改めて見直して、地域の振興に結び付けていく確信と勇気をまず持つ。とは言っても、事態は厳しく、努力を怠れば地域はまた限りない「適疎」への道を突き進んでしまう。商工会は、自治体、農協、森林組合など、地域の団
体と協力して、まずこれからの地域が進む大きなグランドデザインを描いてみる。そうして、いま、進んでいるプロジェクトや計画に対して、自信と勇気と責任をもって大胆に提案していく。そして実行する。
困っているのは何も山の中に地域だけではない。都市も、産業廃棄物の処理、交通公害、ハイテク汚染、都市災害、犯罪など、数えればきりがないくらいの問題に喘いでいる。高見の見物とばかりに、ゆとりをもった取り組みをすべきだ。地域振興フローチャートを活用した、緻密な戦略を立てることを奨めたい。
[プランW]
住んで楽しい街づくり
現状峠を越えて目の前に姿を現す街並みには感動がないと言うよりも、殺伐とした寂しさを覚える。よそから訪れた者にとってそうなのだから、そこで大きくなる子供にとってはなおさら。楽しい街に憧れるのは火を見るより明らか。
盆暮れに帰省した大学生が、何もすることがなくて家にごろごろしている状況がそれをよく物語っていると言える。
感動や刺激がないことは、ただ漫然と生きていることよりも、ある意味では悲惨なことかもしれない。
課題住んで楽しい街とは何かを、商工会は研究して提案すべきだ。川根町とはひと味違った佐久間町、松崎町とはひと味もふた味も違った水窪町etc.このような個性あふれる街が山間地の環境を改善し、住んでいる人も訪れる人も幸せにする。
幸い適度に疎な地域の中で、都市部とは違ってやり易い面があり、また、今からでも遅くはない。
観光地で生きて行こうとすれば、観光客に感動を与える街づくり、商店街づくりも必要。情報や人が超高速で流動する現代社会では、ガリバーの錯覚(1)から、「点」よりも「面」「線」の個性や感動が重要となる。とかく慣れっこになった街を再点検する。
[プランX]
交通ネットワークで交流
現状この間地域では、SL、アプト式鉄道、道路の改善拡幅、バイパス化などで交通条件がかなり改善されてきた。また、長野県側との移動も容易になった。
ところで、交通条件の改善は両刃のやいばであることに注意しなければならない。都市部との風通しが良くなるので、対策がないと購買力が流出し、地域のパイを小さくする一方で、新しい交流のあり方やビジネスチャンスを可能にする。地域は今この問題で選択を迫られている。
課題商工会はもっと交通問題を研究すべきだ。各種の交通機関が地域にどのような波及効果をもたらしすかの研究は、まだまだ未開拓の分野で、それこそ「交通整理」が出来ていないと言える。(参考文献)
A地点とB地点が交通機関で結ばれるか、あるいは新しい交通機関が整備されると、両地点は新しい交流圏域となり、それまでの交流のあり方が見直されると共に、ここの地域での対応を必要とする。
SPとアプト式鉄道さらに林道という異質な交通機関で大井川流域が、川根町から井川まで連結した。これまでの流域という考え方から「交通圏域」と言う考え方で地域づくりを見直す。
[プランY]
都市へ向けて情報発信
現状「第3の波」「情報化社会」と言われるように、地域振興にとって情報のもつ意味は重要である。むかし地域に、農林業、商業など強い産業があった時代には、自ずと情報発信がなされる土壌があった。産業や人口が疎になると、情報発信がなくなり、意図的に情報発信しようという試みもなくなる。情報の流入も疎になり。万事が悪循環を繰り返す。
新聞や雑誌、テレビに取り上げられること概して少ない。
課題確かに情報発信の試みはあるし、きんねん大勢の人が山間地を訪れるようになったことも事実だ。しかしまだまだ情報発信力は弱く、強烈な印象となって伝わってこない。新しいイベントや施設のニュースで湧きかえるぐらいになって、はじめて情報が発信されたと言える。
この絶えざる情報発信によって、新しい交流の機会やビジネスチャンスが生まれ、産業活動が活性化する。
商工会には自治体と並んで、実に多くの地域情報が集まり、発信する下地がある。この情報を加工し、新鮮なものにし、感性を付け加えて、一日一件情報発信センターに商工会がなる。
[プランZ]
地域と育つ人づくり
現状むかし山村では、中学校の教育で、「こんな処にいては、おいしいものも食べられない、テレビも車も買えない、いいものも着られない、みんな町に働きに行こう」という進路指導が行われたと聞く。それはやむを得なかったのかも知れない。
事業所に商工会にも後継者は不在の状況。足下から地域が崩壊しかねない。商工会が、最も重点的に取り組まなければならないのが、この後継者対だ。だが遅々として進まない。
課題だがこの人づくり、後継者対策には速攻薬も妙薬もない。最も根本的なとこらからやるしかない。一家夕食の団らんのひととき、父親が地域を嘆き、わが家の仕事の暗いことばかりを話題にしたのでは、聞いて育った子供が地域に夢が描けず、土地を後にするのは必然。
まず親父さんは地域に誇りを持ち、仕事に誇りと自信を持って子供の鏡となるべきだ。
あるアンケート調査では、子供が将来の仕事の夢を具体的に描くのは、小学校の高学年の頃と出ている。流出予備軍である。商工会は、地域の教育界と連携して地域の良さを教育してもらうべきだ。
〔プラン[〕
商工会の長期経営戦略
現状商工会を経営に見立てると、地域の将来以上に状況は厳しい。財政難、高齢化、後継者不足、会員の減少など、経営体の存続に取って必要不可欠、すべて危機に瀕している。
補助金という命綱が辛うじて、支えていると言っても過言ではない。
商工会にはこれまで、経営改善普及事業や地域復興事業を通じて、地域の産業の維持に貢献してきた。これからは証拠会の生き残り戦略を考えるとき。
課題そのためにまず強化しなければならないのが、地域事業の活性化対策。個別事業所への経営改善普及事業の一環として「経営活性化プランを作成し」草の根の経営革新指導を進めたい。
そして次に、商工会自らの長期ビジョンの策定とその実行。商工会の財政の分析と将来予測、会員の将来推移の検討、基盤存続のために取るべき事業と方向性、自治体との関係のあり方、地域内諸団体との連携のあり方、年との交流のあり方、重点的に育成すべき産業や産業関連のあり方、街づくりの方向性など、ビジョンを描き順次実行に移す。商工会ビジョンを具体的にすることを勧めたい。
高度情報化時代、高速交通時代に、ガリバーがこびとの国へ行って体験するのと同じ様な錯覚がある。情報が乱飛ぶ時代には、その情報がよほど強い印象を持たないと、また高速交通時代に、地域の魅力がよほど広域にわたっていないと、ガリバーの錯覚から、つい見落とされてしまう。
(参考文献)『全国一日交通圏』ぎょうせい
