第2節 パーツメーカーから環境重視型企業へ
1.企業進化と環境
企業にとっての環境問題は、すでに過去の高度成長の時代のような、マイナスの要因(外部不経済)ではなくなり、それを成長要因(内部経済)として、積極的に経営資源として取り込んでいく時代がやってきた。
駿河精機株式会社(本社清水市、従業員数249名、資本金7,200万円)は、昭和39年、下請企業として創業した会社でありながら、独自の技術力と創造的な経営理念により、「環境重視型」アセンブリー・メーカーとして成長した、静岡県内でも屈指の研究開発型企業である。いま同社の軌跡を、簡単に図式化すれば、このようになる。
具体的には、本業である「パンチ&ダイ事業」の市場の成熟化にともない、「オプトR&D支援事業」へ、さらには「還流事業」、「海洋機器・調査事業」へと企業進化を遂げてきた会社である。いわばパイの限界を「自然を守り、自然を活かす」成長持続可能な経済へと転換し、市場開拓を模索してきたのであった。
2.企業にとっての環境問題
この還流事業部というのは、まだ本業が繁忙期にあった昭和57年に、廃棄物に関して研究、着手され、62年に新設された、生まれたばかりの多角化部門である。64年には発泡スチロールの減容器「スチロール・ポスト」を発表し、好評を得ているほか、様々なリサイクル商品(エコステーション)を市場に送り出している。
発泡スチロールは、言うまでもなく、食料品から電気製品に至るまで、様々な用途に用いられ、廃棄物としてその処理に大きな負担がかかっているものである。特に、魚介類用に使用した場合の異臭と、かさばること、高温による焼却炉への負担は、自治体にとっても大きな負担となっている。
いま、同社のスチロール・ポストによって減量化すると、2t車トラック10m3=50sが、ブロック化されることにより、約0.1m3=0.5Kgとなり、体積、重量とも減容率約1/100となる。これは月40万円の処理費が4万円弱になる勘定である。保管スペースでみると約2/5、運搬台数が1/10、重要なことは、リサイクル工場でのリサイクルが可能になることである。
同社のハード技術が、環境対策に活かされた顕著なケースがこれであり、いま一番売れている商品でもある。このように廃棄物を大量に出す企業の採算に乗るところから、地味ではあるが、減量化・リサイクル化を進めて行くことの重要性を、同社のケースは教えている。
3.環境に企業をあわせる
ではその回収・廃棄のための、経済システムはどの様に考えらるであろうか。次の図にこれを示した。
いま、ある製品が製造コスト(C)、賃金(V)、利潤(M)を支払って、価格Cで販売されているとする。流通を経て、小売はこれに流通マージン(a)を上乗せして消費者に価格A(=C+a)で販売するとする。またその商品の廃棄と回収にかかるコストをそれぞれC1、C2とする。
従来の生産・消費の基本的システムでは、廃棄・回収のための費用(C1とC2)が、製品価格に含まれていないため、有料(一部無料)による回収、一般廃棄物として公費による回収・廃棄、ないし産業廃棄物として有料による廃棄が行われてきた。
高度成長時代の大量生産・大量消費は、このような廃棄・回収のための費用を、生産・消費のコストとして欠落させていたために可能となっていた。このシステムが大量の廃棄物を生み、環境破壊を生じさせていたのである。しかもあと七年で、廃棄物処理場は限界に達すると言う。 駿河精機の、スチロールポストは、このC1とC2を大幅に節約させることで、環境への負担を軽減しようと言うものであると解される。
従来の市場原理では、この回収・廃棄のための追加的コスト(C1+C2)が、それによってもたらされるコストの低減分を下回っている限り、企業によって採用されることになり、逆に上回ってしまう場合は、その差額だけ製品価格の上昇を招き、価格競争力上不利となり競争から脱落する。
しかし、法律による規制の強化、処理費用の高騰、環境に対する自覚の高まりなど、追風が吹き始めており、この追加的コストを、市場原理に組み込むとが益々重要になっていると、会長の梅原氏は強調する。(新しいコストの概念:C=(C+C1+C2)+V+M) このように企業自体が、21世紀の最大課題である環境問題に対し、地味ではあるが積極果敢に挑戦し始めたことに、大きな期待が寄せられる。
<参考>(駿河精機パンフレットより)
●見失ってはいませんか、自然の摂理。私たちのテーマは「天意創造」です。
私たち駿河精機は『天意創造−自然の摂理に沿った考え方に基づいて、事業を創造する』。このテーマのもとに常に時代の先を見据え、社会の要求・問題に的確に答えることをよし、として歩んできました。
環流事業部もその現れの一つ。
地球温暖化・砂漠化・大気や海洋の汚染・エネルギー問題・食糧問題など地球は、深刻な問題に直面しています。
私たちは問題解決の手法やシステムを提供する企業として、資源エネルギー浪費型から、省エネ・省資源型へ。また、発展成長至上主義から循環輪廻へ−という〈エコロジー事業〉を展開。自然の生産力を活かすビジネスに取り組んでいます。
より心豊かな社会の実現に向けて事業を創造していく考えです。
●省資源・リサイクル型の日本文化を見直してみませんか。
52億人もの人々が暮らす地球。21世紀までのカウントダウンが始まった今、よりすばらしい地球を未来の人たちに手渡すために、私たちは、これまでの価値観の変換までを含んだ新しいライフスタイルの創造、自然と共生する生活技術の開発が求められています。
私たちは、自然界にある生態系のようなシステム、つまり産業界における〈製造←→再生〉のバランスのとれたシステムを創出したいと考えています。
さまざまな地球論・未来予測モデルを振り返るとき、「便利さ」と引き換えに「生命の危機」を手に入れたような感じさえします。しかし私たち−日本人は世界で最も早く転換できる国だと信じています。なぜなら、世界一早く物質文明を極め、その弊害を知った国であり、国土が狭く資源が無く、人口が多いからです。省資源型の生活をせねばならない環境なので、歴史的にもそれなりの文化・ノウハウがあります。
私たちは、この方向に明るい希望を持っています。
天意創造−それは自然の摂理に添った考えに基づいて市場を創造すること。
駿河精機ではこのテーマを事業活動の大きな柱としています。市場に目を向け、時代の声をダイレクトに聞く。さらにそこから生まれる数々の問題点・課題を自らの手で見いだし、自らの頭脳で模索し、解決してゆく。そして時代が求める新たな事業展開を実現しています。
事業において、どんなに異なるマーケットであろうとも問題解決の方策や発想は共通するものがあるはずです。そこで様々な手法を用い応用することで超精密テクノロジーを確立。プレス金型用パンチ&ダイ事業部門やオプトR&D(リサーチ&デベロップメント)支援事業部門など、その超精密加工技術により生まれる数々の製品やシステムは、つねに市場で高い評価をいただいています。
また駿河精機はテクノロジーの進歩だけでなく、人と技術のあり方を問い続けています。さらに皆様に貢献できる企業を目指し、環流事業部門や海洋機器・海洋連関調査部門による環境問題に取り組んでいます。
かつて人類ではじめて地球を見下ろした、ソビエトの宇宙飛行士ガガーリンは、「地球は、碧かった。」と感嘆しました。はたして現在はどうでしょうか…。
技術はひたすら人間のためだけに歩み続け、私たちは、この地球に対するいたわりの心を忘れてしまったようです。物質的には豊かですが、私たちが本当に豊かになるためには、今以上の努力が必要なのです。
人と技術、そして私たちの美しい自然…。今こそ『天意創造』の理念を持ち、人類の英和が本来の力を発揮しなければならない局面に達しているのです。
駿河精機は、来たるべく21世紀に向け人間と地球の関わりを最善に、そして人とテクノロジーの未来を豊かにすべく、たゆまぬ努力を続けていきます。
環流事業部門
この美しい地球は…
酸性雨、温暖化、砂漠化、大気や海洋の汚染、エネルギー問題、食糧問題…。
私たちの地球は数々の深刻な問題に直面しています。それは現代社会、特に先進諸国の社会生活が目先の豊かさを追い求めるあまり、資源消費、エネルギー浪費に起因しています。例えばフロンガスの乱用によるオゾン層の破壊などは、まさに私たちがその利便性にとらわれていた結果でしょう。そして現在では、自然の自浄能力をはるかに超えた量の廃棄物が氾濫し、美しい自然は次第に壊されているのです。それもわずか半世紀の間に…。
そこで私たちの人類は、これから生まれるであろう生命のために、地球に美しさを取り戻さなくてはなりません。それが今をいきる私たちの使命でもあります。
自然を考え、最適な処理方法を提案する
駿河精機の環流事業部では、地球を守るためにまず省エネ、省資源型の新しいライフスタイルを作り出す必要があると考え、廃棄物の基礎研究を行ってまいりました。その結果、環境を破壊せずに廃棄物の問題を解消する様々なシステムを開発しています。
まずお客様の廃棄物問題には、多岐にわたる手法で調査研究を行います。そして廃棄物に応じた最適な改善提案がされます。環流機器のコーディネート、投資コスト・メリットの試算など、ユーザーへの提案をモットーとし、積極的にシステム化を図ります。また再資源化できる廃プラスチック類、主に有機廃棄物のリサイクル機器の開発に取り組み、廃棄物の有効活用を可能としました。
住みよい地球を創りたい−これが駿河精機の想いなのです。
自然を守れるのは人間である
廃棄物には、金属・樹脂・紙・セラミックス・生ゴミ・汚水など様々なものがあります。つまり処理方法も物理学的・科学的・生物科学的手法が必要とされます。駿河精機では、人間の英和を結集してこれらの処理方法を巧みに組み合わせ、最適な環流方法を展開し続けています。